眼病変とリスク評価
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概要
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非臨床毒性試験において,眼毒性のリスク評価は社会的影響が大きいことから慎重に,総合的になされなければならない。非臨床毒性試験の中で,病理学的検査(剖検・病理組織学的検査)は試験の最終段階で実施されることから,毒性評価におけるウェイトが大きいと考えられがちであるが,in-lifeの種々の検査データを十分把握したうえで検査しなければ精度の高い評価を行うことができない可能性もあろう。眼毒性の徴候は,まず臨床的に眼球の外観あるいは行動異常で発見されることがあり,その所見は試験期間中に実施される眼科学的検査を実施するときの有力な情報となる。眼科学的検査は,眼球の異常所見の検出に特化した専門的検査であり,専用の検査器具を用いて眼科学的(電気生理学的)に眼球全体の状態を評価することが可能である。一方,病理組織学的検査は,眼球の組織レベル・細胞レベルの器質的変化を検出できることから,眼毒性の本質に迫ることができるが,病理組織学的検査にも限界がある。なぜなら,臨床所見あるいは眼科学的検査所見に基づいて,局在する病変を検出すべく組織標本を作製するものの,病理組織学的検査で眼球組織すべてを観察することは不可能であり,組織標本上に当該所見を見いだせるとは限らないからである。また,視覚路の機能的障害により生じる眼毒性は光顕レベル・電顕レベルでも見出すことはできない。加えて,実験動物の種差,系統差および加齢等による眼球の組織変化あるいは背景病変も毒性所見との鑑別診断にあたっては考慮しなければならない。以上のように,眼毒性の評価における病理組織学的検査は,十分な臨床および眼科学的検査所見の情報を得たうえで,適切な眼球の組織標本を作製し,用いた実験動物の眼球の特徴を把握した上で実施することが重要となる。これらの点を踏まえて,いくつかの事例を紹介したい。
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