毒性学的懸念の閾値(TTC)を利用した食品中化学物質のリスク評価
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概要
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毒性学的懸念の閾値(TTC:Threshold of Toxicological Concern)とは,あらゆる化学物質についてそれ以下の暴露量では明らかな有害影響が現れないとするヒト暴露の閾値として設定される。多くの化学物質を含むグループあるいは毒性が分かっていない個々の化学物質の安全性評価を包括的に行う方法を開発するため,過去の毒性試験データの統計学的解析により発展してきたものである。この手法は,香料や食品包装材料物質のような物質で毒性学的情報は極めて限られているが,暴露量が通常極めて低く,多くの機能的に同類の物質を含む化学物質群を包括的に評価するのに有用であると考えられている。規制当局による最初の適用としては,FDAの食品包装材料物質に対する閾値規制が知られている。このとき設定された閾値としては,最も感受性の高い毒性エンドポイントである発がん性物質に関するデータベース(Carcinogenic Potency Database: CPDB)のTD50値を直線外挿によりVSD変換した値の度数分布を統計学的に解析することで,食品への溶出濃度閾値:0.5 ppb(摂取量として1.5μg/human/day)が設定された。さらに,このTTCの概念は,Munroらによる600以上の化合物についてのNOAEL値のデータベースを用いた解析により,非発がん性エンドポイントに対する包括的な閾値設定手法として拡張された。この概念は,国際的には,JECFAの香料物質の安全性評価やICHの医薬品の遺伝毒性不純物の評価ガイダンスにおいても採用されるようになってきている。
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