肝疾患患者の血中microRNAプロファイルを用いた病型診断法の検討
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概要
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【目的】MicroRNAs (miRNAs) は血中に安定的に存在し,癌や糖尿病などの病態を反映するバイオマーカーとなり得ることで注目を集めている。我々はこれまで,肝障害モデルラットを用いた検討により,血中miRNAsが肝障害の病型を区別する高感度バイオマーカーとなることを明らかにし,第38回年会にて報告した。近年,血中miRNAsがヒト肝疾患の診断にも利用可能であることが報告されつつあるが,単一もしくは2種類の肝疾患について評価されたものであり,多岐にわたる肝疾患の病型を分類できるかどうかは明らかになっていない。本研究では,6種類の肝疾患患者の血中miRNAs発現プロファイルを評価し,ヒトにおいてmiRNAが肝疾患の病型を分類できるか明らかにすることを目的とした。【方法】B型慢性肝炎,C型慢性肝炎,自己免疫性肝炎,原発性胆汁性肝硬変,非アルコール性脂肪性肝炎および薬物性肝障害 (肝細胞障害型および胆汁うっ滞型) の28名の肝疾患患者および4名の健常人の血清よりRNAを抽出し,TaqMan MicroRNA Array (667 miRNAs) を用いてmiRNAsの発現量を網羅的に解析した。ANOVAにより病型間で異なる発現を示すmiRNAsを選出し,主成分分析を行った。【結果および考察】血中miRNAs発現の網羅的解析により,健常人および各肝疾患患者群において発現量に有意差が認められるmiRNAを43種類 (miR-148a, miR-222, miR-483-5p など) 見出した。これらのmiRNAsについて主成分分析を行ったところ,健常人と肝疾患患者で大きく区分され,さらに肝疾患のそれぞれの病型・病因ごとに分類されることを明らかにした。ある特定のmiRNAの発現の比較のみでは,非常に類似した肝疾患の病型診断は困難であり,43種類のmiRNAsの発現パターンの解析が,病型・病因の診断に有用である可能性を明らかにした。
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