マイクロ空間培養した株化肝細胞による肝毒性の評価
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概要
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[目的]株化肝細胞を用いて,簡便で感度の高い肝毒性評価方法を提供すること。[方法]細胞培養プレートElplasiaを用いて株化肝細胞HepG2を培養した。Elplasiaは96ウェルプレートの底面に幅200μm,高さ100μmの微細パターンを有することを特徴としており,HepG2は培養1日目に微細パターン内で直径約100μmのスフェロイドを形成する。まず単層培養とスフェロイド培養したHepG2の,発現マイクロアレイ解析およびアルブミン分泌量の定量を行い,スフェロイド培養の効果を明らかにした。次に肝毒性評価のモデルとしてアフラトキシンB1の曝露試験を行った。単層/スフェロイド培養1日目のHepG2に対して濃度0~80μMのアフラトキシンB1を2日間曝露し,MTT試験によって細胞の生存率を測定した。[結果] 単層/スフェロイド培養したHepG2の薬物代謝酵素関連遺伝子の発現マイクロアレイ解析を行なったところ,培養5日目までに21個(23個中)のCYP遺伝子が単層培養と比較して高い発現量を示した。次にCYP3A4によって反応性代謝物となるアフラトキシンB1の曝露試験を行い,単層/スフェロイド培養した細胞の生存率を比較した。両者ともに曝露濃度に依存して生存率が低下したが,濃度10μM~80μMのいずれの条件においても,単層培養と比較してスフェロイド培養したほうが低い生存率を示した。半数致死濃度はスフェロイド:18.5μM,単層:51.4μMとなり,スフェロイド培養したものに毒性が強く現れていることがわかった。またCYP3A4阻害剤であるケトコナゾールを5mM添加した場合,生存率は大幅に上昇した。以上の結果から細胞培養プレートElplasiaを用いて株化肝細胞HepG2をスフェロイド培養することによって細胞の代謝活性が向上し,感度の高い肝毒性評価が可能になると示唆される。
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