ゲンタマイシン投与ラットにおける薬物輸送担体 mRNA の発現変動
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概要
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【目的】腎臓は,ホルモン産生から血圧調節,内因性物質の排泄など様々な役割を担っている。また,薬物など様々な外因性物質に暴露されている。一般に,造影剤やゲンタマイシン(GM)などにより腎障害が起こることが知られており,メカニズムとして薬物が薬物輸送担体を介して近位尿細管細胞内に蓄積されることが原因と考えられている。一般に,腎障害時には,BUN や SCr が上昇するが,それらの変動と薬物輸送担体遺伝子の発現変動との関係については不明である。そこで,GM 投与ラットにおける腎機能と薬物輸送担体との関係について検討を行った。【方法】GM投与の方法はXieらに従った。Wistar系雌雄ラット(7週齢)にGM 1~30 mg/kg の用量で1日1回5日間連続皮下投与し,最終投与後1日目(Day 6)と4日目(Day 9)に肝・腎機能および mRNA 発現量を測定した。rOat1~rOat3 mRNA の発現量はreal-time PCR 法にて検討した。BUN,SCr,AST,ALT は常法に従って測定した。【結果および考察】雄性ラットにおける rOat1,rOat3 mRNA 量は,Day 6 において全ての投与量で対照ラットに比べて最大で約2倍程度増加したが,Day 9 では対照レベルまで回復した。また,rOat2 mRNAは,Day 6 では対照に比べて低下し,1 mg 投与量で対照の約 80%まで減少し,Day 9 においても発現量は回復しなかった。一方,雌性ラットにおける rOat1~rOat3 mRNA 発現量は,1 および 15 mg/kg の投与量で Day 6 において対照ラットに比べて増加が見られたが,それ以外の投与量では発現量が低下した。BUN,SCr,AST,ALT 値はいずれの投与量でも上昇は認められなかった。以上の結果,肝・腎機能に影響を与えない薬物の投与量でも薬物輸送担体の mRNAレベルでは顕著に変動していることが明らかになった。
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