銀ナノ粒子と医薬品における相互作用の検討
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概要
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【目的】銀ナノマテリアルは,歯磨き粉やデオドランドスプレー,食器類,衣料品など幅広い製品に利用されており,今後もその重要は拡大すると考えられる。しかし,安全性に関する研究は未だ十分とは言い難く,特に医薬品との相互作用に関する報告はほとんどなされていないのが現状である。本研究では,銀ナノ粒子と医薬品との薬物相互作用を,マウスを用いて研究した。【方法】雄性BALB/cマウスに,粒径40nmの銀ナノ粒子(NSP40),粒径100nmの銀ナノ粒子(NSP100)を用量0.08mg/kgで尾静脈に単回投与し,同時にCCl4,シスプラチン,ストレプトマイシン,アセトアミノフェンをそれぞれ腹腔内に単回投与した。投与24時間後に採血し,血清を採取した。採取した血清より,肝障害の指標としてALT,AST,腎障害の指標としてBUNを測定した。【結果】NSP40,NSP100それぞれの単独投与群,CCl4併用群,シスプラチン併用群,ストレプトマイシン併用群では,ALT,AST,BUNの優位な上昇は認められなかった。NSP40またはNSP100とアセトアミノフェン併用群ではALT,AST共に優位な上昇が認められたが,BUNの優位な上昇は認められなかった。【考察】NSP40,NSP100を試薬の最大容量である0.08mg/kgで尾静脈に投与したが,通常この濃度の銀ナノ粒子が直接血中に入る可能性は考えにくく,銀ナノ粒子単体における安全性は高いと考えられる。しかし,アセトアミノフェンとの併用においてのみALT,ASTが上昇したことから,銀ナノ粒子は併用する薬物によって相互作用が変化することが示唆された。検討を行った薬物の種類が少ないために作用機序の解明に至っていないため,今後は更に薬物の種類を増やして検討を行う必要があると考えられる。
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