クロマチンリモデリングファクターSnf2HによるMTF-1標的遺伝子の転写制御
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概要
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メタロチオネイン(MT)は重金属結合性のタンパク質であり,重金属や活性酸素種からの保護など生体防御において重要な役割を果たしている。MTの発現は種々の重金属によって誘導され,その誘導にはmetal response element-binding transcription factor-1(MTF-1)が必須であることが知られている。これまでに我々は,亜鉛処理によってMTF-1がマウスMT-Iプロモーター上にリクルートされるのに伴い,ヒストン・コア粒子が除去されることを報告してきた。そこで今回は,このヒストン・コア粒子の除去に関わる因子の同定を目指し,種々遺伝子の転写活性化に関与することが報告されているクロマチンリモデリングファクターであるBrg-1,BrmおよびSnf2Hについて,MT遺伝子発現への関与を検討した。これらリモデリングファクターに対するsiRNAをマウス胎児繊維芽細胞に導入し,これらをノックダウンした時のMT-I遺伝子発現をリアルタイムRT-PCR法にて調べた。また,MT-Iと同様にMTF-1標的遺伝子であるMT-IIおよびZnT1遺伝子の発現も調べた。siRNA導入により,Brg-1およびBrmのmRNA量は8割程度減少したにもかかわらず,亜鉛によるMT-I mRNAの誘導は抑制されなかった。したがって,Brg-1およびBrmは亜鉛によるMT遺伝子の転写活性化には関与していないと考えられる。一方,興味深いことに,Snf2Hをノックダウンした場合は,亜鉛によるMT-I mRNAの誘導は有意に増加した。また,MT-IIおよびZnT1 mRNAの亜鉛による誘導も増加した。Snf2Hは遺伝子発現を正,負どちらにも制御しうることが知られている。以上より,Snf2HがMTF-1標的遺伝子の転写を負に制御している可能性が示された。
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