2-(2'-Hydroxy-3',5'-di-tert-butylphenyl)benzotriazoleによる肝毒性メカニズムのトランスクリプトーム解析
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概要
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【目的】2-(2'-Hydroxy-3',5'-di-tert-butylphenyl)benzotriazole(HDBB)は,過去に紫外線吸収剤として用いられた化学物質であるが,難分解性かつ高蓄積性であり,我々の研究により非常に低用量(52週投与毒性試験におけるNOEL は,0.1mg/kg/day)で肝毒性が発現することが明らかとなり2007年に第1種特定化学物質に指定された。これまでの研究では,HDBBによる肝毒性のメカニズムについて明らかではないが,ペルオキシゾーム増生を示唆する変化が認められている。本研究では,HDBBによる肝毒性メカニズムについて詳細な検討を行う目的でトランスクリプトーム解析を行った。【方法】HDBB 0(媒体), 0.5及び2.5mg/kg/dayをCrl:CD(SD)雄ラット(3匹/群)にコーン油を媒体として単回強制経口投与した。なお,0.5mg/kg/dayは,52週間反復投与試験における最小毒性用量である。投与24時間後に肝組織を採取し,RNeasy Mini kitを用いてtotalRNAを抽出し,GeneChip Rat Genome 230 2.0 Array による遺伝子発現解析を行った。【結果】2.5mg/kg/day投与群において,ACOX1を始めとしたPPAR標的遺伝子を含む脂質代謝関連の遺伝子群の明確な発現上昇が認められた。0.5mg/kg/day投与群においては,それらの遺伝子群の発現変化はあまり明確ではなかった。トキシコゲノミクスインフォマティックスプロジェクトより公開されている遺伝子発現データベースとの比較により,HDBB投与による遺伝子発現変化のプロファイルが,代表的なPPARリガンドと類似することが明らかとなった。結果より,HDBBの毒性発現におけるPPARα作用の関与が示唆された。
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