ラット海馬歯状回でのニューロン新生開始時期である胎齢後期でのメチルニトロソ尿素(MNU)の短期間投与による離乳時ニューロン新生への影響
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概要
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【目的】アルキル化剤であるメチルニトロソ尿素(MNU)には増殖細胞に対する増殖抑制作用があり,脳室下帯のニューロン新生や移動が盛んな胎齢14-15日のラットに母動物を介して投与すると,児動物に小脳症を誘発する。本研究ではニューロン移動が終了した海馬歯状回(DG)でのニューロン新生開始時期を標的としたMNUのラットを用いた胎齢後期暴露実験を行い,離乳児でのDGにおけるニューロン新生への影響を検討した。【方法】各群10匹の妊娠SDラットに,妊娠18日目からMNUを0,1,3 mg/kg体重の割合で3日間(1回/1日)腹腔内投与した。生後4日目にリッターサイズを,雄児動物をできるだけ残すように8匹に調整し,生後21日目に解剖した。児動物と母動物の脳重量を測定し,児動物ではさらにDGの顆粒細胞層下帯(SGZ)と顆粒細胞層における各成熟段階にある細胞系譜の変動および歯状回門でのGABA性介在ニューロンの分布を免疫組織化学的に検討した。SGZでは細胞増殖性とアポトーシスの変動も検討した。【結果】母動物,児動物とも脳重量は変動しなかったが,児動物のSGZではdoublecortin(DCX)陽性細胞とPCNA陽性増殖細胞の数が高用量群で減少していた。アポトーシスは変動せず,sox2とtbr2陽性細胞数も変動しなかった。顆粒細胞層ではNeuN陽性細胞数に変動はなかった。海馬歯状回門ではcalbindin(CB)陽性細胞数が高用量群で増加していたがparvalbumin,calretinin,reelin陽性細胞数は変動しなかった。【考察】MNU投与時にSGZの神経幹細胞や神経前駆細胞がアポトーシスを起こした結果,離乳時ではtype3前駆細胞~未熟顆粒細胞が減少し増殖細胞の減少が生じたと考えられた。さらにラットDGでの新生ニューロンは分裂後3週以内に多くが成熟することから,NeuN陽性分裂後ニューロン数に変化のないことは,生存細胞に細胞周期の遅延ないし停止の生じていることが示唆された。CB陽性介在ニューロンの増数は顆粒細胞系譜の減数に反応した変化と推察された。
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