ラットを用いた口腔内滴下投与による口腔粘膜刺激性試験法の検討
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概要
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局所投与を目的とした医薬品の開発では,投与部位における局所刺激性プロファイルに関するデータが製造販売承認申請時に必要となる。口腔内が投与部位となる場合,口腔粘膜の刺激性について評価する必要があるが,口腔粘膜刺激性試験法に関する医薬品のガイドラインは存在しない。ハムスターを用いた口腔内塗布又は接触による試験法が汎用されているものの,他の動物種及び投与方法を用いた報告は少ない。そこで,歯磨剤などの口腔粘膜刺激性評価に用いられている米国化粧品工業会(CTFA)が1981年に作成したガイドラインを参照し,ラットを用いて液剤の口腔内滴下投与による口腔粘膜刺激性評価について検討した。雄性SDラットに0.1 mLの0.5%,4%及び15%ドデシル硫酸ナトリウム溶液を1日4回,1時間間隔で口腔内滴下投与した。投与期間については,0.5%及び4%滴下群では10日間,15%滴下群では4日間とした。また,同量の4%溶液を1日4回,1時間間隔で4日間,口唇境界部に塗布した群も設定した。口腔内の観察部位は,舌背及び口唇境界部とした。口腔粘膜刺激性評価については,毎日,4回目投与の1時間から2時間後に肉眼的観察を行い,CTFAガイドラインに従って刺激性分級を行った。0.5%及び4%滴下群では刺激性変化は認められなかったが,15%滴下群では舌の変色,歯肉部に腐肉及び口唇境界部に粘膜の荒れが認められ,中等度の刺激性ありと分級された。一方,4%塗布群では歯肉部に腐肉がみられた他,口唇境界部に粘膜の荒れがみられた例も認められ,軽度の刺激性ありと分級された。病理組織学的には,15%滴下群及び4%塗布群の口唇境界部において,粘膜上皮の肥厚及び錯角化がみられた。以上の結果から,ラットを用いた口腔内滴下投与による本試験法は,液剤である開発医薬品の有用な口腔粘膜刺激性評価系となり得る可能性が示された。
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