新生ラットへのエチニルエストラジオール曝露が幼若期の卵巣における卵胞発育関連遺伝子の発現に及ぼす影響
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概要
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【目的】我々は新生雌ラットに低用量のエチニルエストラジオール(EE)を短期間経口投与すると膣開口に影響は認められないが,初回排卵の遅延および性腺刺激ホルモンに対する感受性低下が認められることを報告した(2012年SOTおよびSSR)。今回,出生後に始動する卵胞発育に及ぼすEE投与の影響を知るために,幼若期卵巣を構成する莢膜細胞,顆粒層細胞および卵母細胞に発現する遺伝子を定量解析したので報告する。【方法】SD系妊娠ラットから得られた新生雌ラットに1日齢から5日間EEを1日当たり0(コーン油10 mL/kg),0.4,2.0 μg/kgの用量で反復経口投与した。10日齢,23日齢で卵巣を採取してtotal RNAを抽出し合成したcDNAを鋳型としてreal-time RT-PCRでLH受容体(LHR),FSH受容体(FSHR),estrogen受容体β(ERβ),growth differentiation factor 9(GDF-9),inhibin αおよびβA,βB,抗ミューラー管ホルモン(AMH),3β hydroxysteroid dehydrogenase(3β-HSD)ならびにaromataseのmRNAを定量解析した。【結果・考察】EE投与群でLHR mRNAの発現が低下した。幼若ラットの卵巣でLHRは間質および莢膜に発現すると考えられているが,間質が少ない10日齢でより顕著な低下が認められたことから,EE投与が莢膜細胞におけるLHR 発現に影響を及ぼしている可能性が示唆された。また,3β-HSDおよびaromatase mRNA発現が低下した。10日齢の卵巣は血中性ステロイド濃度への寄与が乏しいが,23日齢でもaromatase mRNAの発現低下が認められ,estradiolの合成および分泌は幼若期に低下しているものと考えられた。発育卵胞の卵母細胞に発現するGDF-9ならびに健常な顆粒層細胞で発現するFSHR,ERβ,inhibin各サブユニットおよびAMH mRNA発現に影響はみられなかった。以上のことから,新生児期EE曝露は10日齢ですでに卵巣でのLHR発現低下ならびにステロイドホルモン合成系に影響を及ぼすことが示唆された。
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