胆汁うっ滞性肝障害のスクリーニング評価
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概要
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【背景】胆汁うっ滞はラットを用いた毒性試験では病理学的評価等で捉えることが難しく,後に問題となることがある.一方でin vitroでは胆汁酸排泄に関わるbile salt export pump (BSEP) の発現系等を用いた阻害能の評価が広く知られるが,他のメカニズムによる胆汁酸の排泄異常に関しては検出が困難である.そこで本研究では,肝機能を保持できる条件下でのin vitro障害性試験に遺伝子発現解析を組み合わせることで胆汁うっ滞性肝障害のスクリーニングを実施した. 【方法】雄性SDラットより単離した肝細胞を用いてサンドイッチ培養下で化合物を24時間処置した.胆汁酸をリガンドとする核内受容体farnesoid x receptorの標的遺伝子Small heterodimer partner (shp) のmRNA発現変動をreal-time RT-PCRにより評価し,細胞内胆汁酸変動の指標とした.細胞障害性は漏出酵素活性,ミトコンドリア活性等を指標にして評価し,リスクを総合的に評価した. 【結果・考察】ヒトにおいて胆汁うっ滞が報告される化合物のうち,cyclosporin AやtroglitazoneなどBSEP阻害が知られる化合物だけでなく,BSEP阻害能が弱いdiclofenacなどにおいてもshp遺伝子の発現誘導が認められた.また,胆管障害が主な原因とされるα-naphthylisothiocyanate,さらにtight/gap junctionの阻害剤によってもshp mRNAの発現上昇が認められたことから幅広いメカニズムに対応できる評価方法であると考えられた.胆汁うっ滞の発生に免疫応答が関与すると考えられているamoxicillinなど一部検出できない化合物も認められたが,本スクリーニング法は新たな胆汁うっ滞の評価方法として有用であると考えられる.
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