カナマイシン反復投与におけるミニブタの聴性脳幹反応(ABR)による聴覚機能評価
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概要
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【目的】聴性脳幹反応(ABR)検査は,臨床診断において聴覚機能を評価において有用な診断方法である。 当試験では,ヒトで聴覚障害が危惧されているアミノ酸配糖体抗生物質の一種のカナマイシンを投与することによって引き起こされる聴覚毒性について,ミニブタを用いて音刺激によるABRの閾値変化を指標に検証した。【方法】ミニブタは雄性のGöttingenを使用した。 ABRは麻酔下で両耳にヘッドホンから音刺激(12 kHz)を左右別々に与え,誘発されたABRをミニブタに取り付けた頭皮電極を介して誘発電位を記録した。カナマイシン投与前にミニブタの聴力が正常であることを確認し,カナマイシン100mg/kgを1日1回10週間静脈内投与した。 音刺激によるABRの測定は,90bBから10dBずつ減少させて行いABRの波形が消失するまで行った。測定時期は,投与前,投与開始1,2,3,6及び10週に行った。 評価はABR波形よりwave I-IIIにおけるwaveのPeak to Peak値の振幅(mV)及び潜時(ms),ABRの消失する音圧レベル(dB SPL)を解析し評価した。【結果】カナマイシンの静脈内投与によってABRの波形の変化が認められ,その変化は投薬6週以降にI 波の振幅の減少及び潜時の延長が認められた。ABRの消失する音圧レベルにおいては投与期間の長期化に伴って上昇を示し,投与開始3,6及び10週では有意な上昇を示した。【まとめ】ミニブタのABR検査は,他の動物種同様にカナマイシンの聴覚障害を検出することが可能であり, 安全性試験における聴覚機能評価に有用であると考えられる。
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