エストロゲンのラット胎盤発生に対する影響
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概要
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【目的】エストロゲンのラット胎盤発生に対する影響を経時的に検索した。【材料及び方法】試験にはWistar Hannover妊娠ラット75匹を供試した。17β-エストラジオール-3-ベンゾールはエタノールに溶解し、生理食塩水にて希釈し、0及び100 μg/aminalの用量にて妊娠6から8日(対照群及び妊娠6-8日投与群)、妊娠9から11日(妊娠9-11日投与群)及び妊娠12から14日(妊娠12-14日投与群)に腹腔内投与した。妊娠11、13、15、17及び21日に剖検を実施し、胎盤及び胚子/胎児を摘出し、重量測定後、胎盤の組織病理学検査を実施した。【結果】胎児死亡率は妊娠6-8日投与群及び妊娠9-11日投与群で約50%まで上昇したが、両投与群の妊娠21日における胎児重量は対照群と比して著変は認められなかった。一方、妊娠6-8日投与群では妊娠17及び21日における胎盤重量が増加、胎児胎盤重量比が低下していた。組織病理学検査では間膜腺の厚さは妊娠6-8日投与群で妊娠11日以降、妊娠9-11日投与群で妊娠13日以降菲薄化し、これら群では間膜腺はヒストンH3陽性細胞の減少を伴った低形成を示した。さらに、螺旋状動脈の発達は抑制され、これにより血管内皮栄養膜細胞の螺旋状動脈内へ浸潤は対照群と比してより深部にまで至り、特に妊娠6-8日投与群では放射動脈にまで浸潤していた。脱落膜では妊娠6-8日投与群及び妊娠9-11日投与群で出血を伴った一過性の壊死が妊娠13日に認められた。基底層ではグリコーゲン細胞の嚢胞状変性が妊娠6-8日投与群では妊娠17及び21日、妊娠9-11日投与群では妊娠21日に認められた。迷路層では妊娠6-8日投与群でうっ血を伴った母体血管洞の嚢胞状拡張が妊娠17及び21日に認められ、これにより胎盤重量は増加していた。一方、妊娠12-14日投与群では著変は認められなかった。【結論】エストロゲンは間膜腺において脱落膜化した子宮内膜間質細胞の増殖を抑制し、これにより螺旋状動脈の発達不全を伴った間膜腺の低形成が誘発されるものと推察した。胚子/胎児死亡の要因の1つとして、螺旋状動脈の発達不全による子宮―胎盤血流の減少が考えられた。
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