Vitrigel-LMTT法:ヒト肝がん細胞の肝機能賦活化を誘導するコラーゲンビトリゲル膜チャンバー培養システムを用いた新しい肝代謝・毒性試験
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概要
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生体内の結合組織に匹敵する高密度コラーゲン線維より成るコラーゲンビトリゲル薄膜(CVM)をプラスチック円筒の片面に貼った細胞培養用のチャンバー(CVMチャンバー)は、チャンバー内に注いだ培養液が外側に漏れ出ることはないため、CVM直下を固相あるいは液相のみならず気相としても使用できる。本研究では、CVMチャンバーを利用して、HepG2細胞(ヒト肝がん細胞)を用いた肝代謝モデルの構築およびその有用性について検証した。CVM直下を固相としたCVMチャンバー内でHepG2細胞を48時間培養した後、「液相-固相」、「液相-液相」あるいは「液相-気相」の各界面で培養を開始した。経時的に細胞形態を観察すると、「液相-気相」界面培養でのみ細胞間に胆管腔様構造が認められた。同時にCYP3A4活性を解析すると、「液相-気相」の界面で培養した細胞では他の2条件に比べ活性化が認められた。また、Fluorescein Diacetate (FD)をモデル薬物として培養液に添加し、その取込みと排泄を蛍光顕微鏡観察により解析を行った。その結果、FDは何れの条件で培養した細胞でも取込まれ代謝された後に細胞内で蛍光を呈したが、「液相-気相」の界面培養では速やかに細胞外に排泄され胆管腔様構造に蓄積された。さらに、acetaminophen (APAP)を培養液に添加し、その毒性発現を共焦点レーザー顕微鏡観察によるミトコンドリア膜電位および細胞膜透過性を指標に評価した。APAPに曝露した細胞では、APAP濃度依存的なミトコンドリア膜電位の低下と細胞膜透過性の上昇が認められ、障害が観察された。これらの結果は、HepG2細胞の機能および形態が賦活化される「液相-気相」の界面培養システムが、肝代謝および肝毒性の評価として有用であることを示唆する。
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