フェノバルビタール投与によるラット肝臓におけるSIRT1活性の低下
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概要
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第39回本学会において,フェノバルビタール(PB)の4週間反復投与によりラット肝臓において誘発されるDnmt3aおよびFoxo1発現抑制がHif1aの発現低下に起因することを示した。今回,CYP2B1誘導時におけるHif1aの発現抑制メカニズムを解明するために,上記肝臓サンプルを用いてHIF1A上流因子を検索した。CYP familyはその活性中心にNADPHが必須であることから,酵素誘導時にNADPHはNADHから転換されることが知られている。PBの8 mg/kg/day投与群では,対照群に比べてNADHは有意に減少していたが,これとは逆にNAD+は有意に増加しており,これらトータル(NADH+NAD+)の変化は認められなかった。PBの80 mg/kg/day投与群では,対照群に比べてNADHは有意に減少しており,NAD+の有意な変化は認められず,NADH+NAD+は有意に減少していた。RT-PCRの結果,Sirt1の有意な変化は認められなかったが, 80 mg/kg/day投与群ではMtorが対照群に比べ有意に増加していた。また,Cyp2b1は8 mg/kg/day投与群で対照群に対して有意に増加していたが,増加量は80 mg/kg/day投与群に比べてはるかに低かった。SIRT1はMTORの遺伝子発現レベルでのnegative regulatorであることから,PBの80 mg/kg/day投与によりSIRT1の活性低下が誘発されたことが示された。酵母Sir2と異なり哺乳類のSIRT1はNAD+とNADHの双方に依存性であることから,過剰な酵素誘導によるNADH+NAD+の有意な減少によりSIRT1の活性が低下したと考えられた。SIRT1およびMTORは細胞の肥大・萎縮に関与することから,現在,培養肝細胞を用いてSIRT1の遺伝子制御メカニズムを検索している。
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