サブナノ白金の経皮リスク解析に資する基礎的検討
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概要
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近年,有用性の向上を目的として,ナノマテリアル(NM)のさらなる微小化が進んでおり,既に粒子径をサブナノサイズ領域(10 nm以下)に制御した素材(サブナノマテリアル;sNM)の実用化が始まっている。これらsNMは,蛋白質と同等の大きさであり,粒子とも分子とも異なる未知の生体影響を誘発する可能性が考えられるが,その安全性情報は乏しく,有用かつ安全なNM・sNMの創製に資する基盤情報の収集を目指したNano-Safety Science(ナノ安全科学)の視点からの検討が望まれている。そこで本検討では,抗酸化能の高さから既に食品・化粧品に配合されているサブナノ白金を用いて,経皮曝露時の体内吸収性,および一般毒性を解析した。粒子径8 nmのサブナノ白金(snPt8),1 nmのサブナノ白金(snPt1)をマウスに7日間連続で経皮塗布し,各組織中の白金量を測定した。その結果,snPt8が塗布局所である皮膚以外の組織で検出されなかったのに対し,snPt1を塗布した群においては全身の主要組織で白金が検出された。また,snPt1の組織への滞留量を比較すると,肝臓,および腎臓に多く滞留する傾向が認められた。次に,これらマウスを一般毒性学的に解析したところ,いずれの白金サンプルを塗布した群においても,体重,血球細胞数の目立った変化は認められなかった。本結果は,粒子径の適切な制御により,白金の経皮吸収性をコントロールできる可能性を示しており,安全で有用なNM・sNMの最適設計(Nano-Safety Design)に資する知見である。なお,金属ナノ粒子は製造,および保管の過程で,その金属由来のイオンが混入することが考えられる。そのため,本検討に使用した白金サンプル中の白金錯イオン量や,白金錯イオンに起因する生体影響に関しても追加で情報を収集しており,可能な限り,併せて発表する予定である。
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