非晶質ナノシリカの経口摂取による食物抗原に対する免疫応答変動
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概要
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食の安全・安心が求められている昨今,非晶質ナノシリカ(nSP)をはじめとする食品NMの安全性評価・確保が,これまで以上に待望されている。本学会においても,当研究室の森が発表予定であるが,nSPは経口曝露後,曝露局所であるパイエル板,腸管膜リンパ節だけではなく,肝臓や脾臓などの全身臓器へ移行するものの,目立った一般毒性学的影響は認められないことなどを明らかとしている。一方で,曝露局所である腸管は,内なる外と言われるように,常に食物抗原やウィルスなどの外来異物と接触しているため,独自の免疫機構を構築しており,人体最大の免疫組織として知られている。本観点から,食品NMの安全使用に資する基盤情報収集のためには,一般毒性学的観点のみならず,免疫学的観点からの解析も必要であると考えられる。特に,我々がnSPを経口摂取する際には,多くの食物抗原と同時に摂取しているため,nSPが食物抗原に対する免疫応答に及ぼす影響を評価することは非常に重要である。そこで本発表では,食物抗原の一種であるニワトリ卵白アルブミン(OVA)と粒子径30 nmのnSP(nSP30)を共に経口摂取した際の,OVAに対する免疫応答の変化を解析した。C3H/HeJマウスにOVAとnSP30(OVA/nSP30)を経口投与し,抗原特異的な抗体産性を評価した。その結果,OVA単独投与群と比較して,OVA/nSP30共投与群では有意な抗原特異的IgG抗体の産生が認められ,nSPを摂取することで抗原に対する過剰な免疫応答が誘導される可能性が明らかとなった。食物抗原に対する過剰な免疫応答は,免疫寛容の破綻を誘導し,食物アレルギーの発症を誘発する。本観点から現在,nSPの経口摂取が免疫寛容,および食物アレルギーの誘導に与える影響を精査している。将来的に本研究の成果が,nSPの安全な使用や社会受容の促進に貢献できることを期待している。
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