放射線毒性学的に見た原発事故の影響
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概要
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放射線影響とは,放射線により物質が電離される際に電子軌道より飛び出した自由電子によって細胞やDNAを傷つけることで生じる様々な障害を総称する言葉である。放射線被ばくを考えた場合,外部から放射線にさらされた場合と放射性物質が生体内部に取込まれた場合では,影響が異なるのか否か,まだまだ不明な点が多いのも放射線の難しさのひとつと言える。チェルノブイリでは事故から27年が過ぎた現在でも,汚染地域では汚染食品による内部被ばくが続いている。我々の調査では,高濃度の汚染食品を食べて生活している30歳代男性で58,000ベクレル,預託実効線量に換算して5.2ミリシーベルトだった。近年ウクライナの報告では,心疾患や閉経後の女性の甲状腺がんの増加などが報告されている。科研費番号22406019 H22年度~H24年度「チェルノブイリ被災地をモデルとした原発解体作業に伴う被ばく影響の基礎的研究」(研究代表者 木村真三)でも,成人を対象とした調査結果から,国際疾病分類表ICD-10のカテゴリーより,妊娠,分娩および産褥(単胎自然分娩を除く)等において土地の汚染度と上記疾病に関して有意な値が示された。一方,東京電力福島第一原発事故では,事故発生より3日目には福島県内に入り環境調査を進めながら,高線量地域と知らされずに避難していた浪江町住民を再避難させるなど,事故当初から福島県内の実態を明らかにしてきた。今回は,演者が健康アドバイザーを務める二本松市の外部被ばく,内部被ばくについて報告する。現在の二本松市では,明らかに内部被ばくをしている市民は0.5%程度であり,食事コントロールが成功しているが,事故から2年が過ぎ,市民の危機意識も薄らいで来たために,僅かながら内部被ばくを呈する市民が増え始めている。また,外部被ばくは,H23年度とH24年度の推定年間被ばく線量に変化がなかった。
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