ナノマテリアルの物性-動態-生体影響の連関評価
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概要
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近年,ウイルスと同等サイズのナノマテリアル(NM:粒子径100 nm以下)に加え,蛋白質と同等サイズのサブナノマテリアル(sNM:1〜10 nm範囲)までもが開発・実用化され,工業用製品・電化製品・日常生活用品・医薬品・食品など,様々な製品として我々の生活の質的向上に寄与している。そのため我々は,これらNM・sNMに対する意図的・非意図的な曝露を避け得ない状況にある。しかし未だ,NM・sNMの安全性については,ハザード情報でさえ不十分であり,リスク解析に必須の曝露実態(動態[ADME]:吸収性,その後の分布,代謝,蓄積・排泄といった細胞内・体内挙動)情報に至っては皆無に等しい。従って,NM・sNMの安全性評価(ADMETの理解)と安全なNM・sNMの利用促進,さらには,我が国の圧倒的な強みである「NM・sNMの開発技術」を活かし,安全性に懸念が残るものは安全なもの仕立てあげていくことが,まさにキーポイントとなっており,ヒトの健康確保と社会受容の促進(ナノテクの社会還元)の両方が急がれている。本観点から我々は,Sustainable Nanotechnology(安全・安心に持続的に社会受容されるナノテク)研究の一環として,種々NM・sNMの物性・品質を解析すると共に,リスク解析基盤となる細胞内・体内動態と一般毒性・特殊毒性を定性・定量解析し,物性-動態-安全性の連関評価に資するナノ安全科学(Nano-Safety Science)研究を推進してきた。これら情報は,別の視点から眺めると,安全なNM・sNMを粒子設計するためのNano-Safety Design(ナノ最適デザイン)研究にもインパクトを与えるものである。本発表では,以上についての我々の取組についてオムニバス形式で,時間の許す限り,ご紹介させて頂き,ご批判,ご意見を賜りたい。
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