レポーター遺伝子導入ラットを用いた短期腎発がん物質検出モデルの開発
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概要
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化学物質の発がん性評価は,げっ歯類による長期発がん性試験により行われているが,その結果をヒトに外挿するためにはmode of actionを解析する必要があり,発がん物質のリスク評価には多大な動物数・コスト・時間が必要とされる。また,腎臓は化学物質により誘発される発がん性の主要な標的臓器であるにも関わらず,腎発がん物質を短期間で検出できる有用な試験法はこれまで開発されていない。そこで今回,レポーター遺伝子導入動物のgpt deltaラットを用いて腎臓におけるin vivo変異原性と前腫瘍性病変の病理解析による短期発がん評価系開発を試みた。6週齢の雌性gpt deltaラットに被験物質を4週間投与した後,2週間の休薬後に片側腎摘出(UN)を施し,その摘出腎においてイニシエーション活性の指標としてgpt assayを実施する。UN後の残存腎の細胞増殖活性が最も上昇する48時間後にイニシエーション処置としてdiethylnitrosamineを40 mg/kg単回腹腔内投与して,さらに1週間の休薬後から被験物質投与を再開し,試験開始19週間後の残存腎における前腫瘍性病変の病理組織学的解析を行い,プロモーション活性の指標とした。本試験法のバリデーションのため,遺伝毒性発がん物質としてaristolochic acid,腎プロモーター物質としてphenylbutazoneおよびpotassium dibasic phosphate,陰性対照として雌性ラットにおいては発がん性を示さないd-limoneneを用いた。gpt assayの結果,aristolochic acid投与群においてgpt遺伝子突然変異頻度が有意に上昇し,スペクトラム解析ではAT:TA transversion変異頻度の有意な上昇がみられ,これらの結果は過去のin vivo変異原性試験結果と一致していた。今後,試験終了時の残存腎における前腫瘍性病変の病理解析を行い,その結果を併せて本試験法の有用性について報告する予定である。
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