フローサイトメトリーによるラットの赤血球内変性ヘモグロビンの定量分析に関する検討
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概要
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【目的】Heinz小体は,先天性疾患の他,酸化作用のある化学物質暴露により赤血球内で変性ヘモグロビンが沈殿して形成され,ニューメチレン青等の超生体染色により赤血球膜に隣接して染色される封入体である。超生体染色法による赤血球のHeinz小体陽性比率は,ヘモグロビンの変性が赤血球内で生じたことを示す指標として,ヒト及び動物の臨床診断に利用されている。一方,ヒトでは変性ヘモグロビンの赤血球内蓄積により緑色の自然蛍光が増強することが知られており,フローサイトメトリーによる赤血球の自然蛍光検出が変性ヘモグロビンの新しい定量分析法として有望であることが報告されている(筑波大学技術報告27: 6-7, 2007)。今回,ヒトの定量分析法がラットへ適用可能か検討した。【材料及び方法】生体外Heinz小体生成試験において,アセチル・フェニルヒドラジンの酸化作用により生じた赤血球内変性ヘモグロビンの自然蛍光検出(Ex488nm,Em530±15nm)をフローサイトメーター(FACS Canto,BD Biosciences)で測定して従来法の超生体染色と比較し,赤血球内変性ヘモグロビンの定量分析が可能か否か検討した。【結果及び結論】アセチル・フェニルヒドラジン反応による検討では,フローサイトメトリーによる変性ヘモグロビンの自然蛍光測定と超生体染色法によるHeinz小体陽性率は正の相関を示した。したがって,フローサイトメトリーによる測定法は毒性評価に有用と考えられた。現在,本法のGLP毒性試験への応用の可能性を考慮し,酸化作用のある代表的な化学物質をラットに投与することにより生体内で生成された変性ヘモグロビンをフローサイトメトリー法とHeinz小体陽性率で検出してその相関を確認しているので,その結果を含めて報告する。
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