ラットにおける低血糖と催奇形性の関連性に関する検討
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概要
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【目的】血糖低下薬を妊娠ラットに投与すると胎児眼部や骨格に奇形を惹起する場合がある。この催奇形性機序は,薬物の胎児への直接作用ではなく母体低血糖の二次的影響によって惹起される可能性も考えられる。そこで,胎盤を通過しない異なる4種インスリン製剤を妊娠ラットに投与し,母動物の低血糖と胎児毒性の関連性を検討した。【方法】インスリン製剤であるノボラピッド注(200,400 IU/kg, bid),ランタス注(100,200 IU/kg, qd),レベミル注(300,500 IU/kg, qd),ノボリンN注(200 IU/kg, qd)又は生理食塩水を各群6~8例のCrl:CD(SD)妊娠ラットに妊娠6~11日まで皮下投与した。各群3例については,投与初日の投与前,投与1,2,4,8及び24時間後,並びに投与最終日の投与1,4及び24時間後に血糖値を測定した。妊娠20日に胎児を摘出し,生存胎児全例について外表異常を観察後,頭部内臓異常及び頭部以外の体躯における骨格異常を観察した。【結果及び考察】全てのインスリン製剤投与群で,投与初日の投与1~8時間後まで母動物の血糖値は顕著に低下した。ランタス及びレベミル群では,投与24時間後においても低下傾向がみられ,投与期間中,この血糖低下に対する代償反応と考えられる摂餌量の増加が認められた。一方,投与最終日では,全てのインスリン製剤投与群で血糖値の低下がみられたが,投与24時間後には対照群に比べて高値を示した。胎児観察では,ランタス及びレベミル投与群で無・小眼球症,高用量群では胚胎児死亡の増加傾向が認められた。また,中軸骨格の異常が上記2剤に加えノボラピッド群でも認められた。以上,本試験条件下では,種々のインスリン製剤によって無・小眼球症や中軸骨格の異常が惹起され,その催奇形性機序には母動物の低血糖の程度及び持続時間の関与が示唆された。
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