Methotrexate誘発肺障害における薬物トランスポーターの関与-肺胞上皮細胞および肺線維芽細胞におけるmRNA発現と機能の比較-
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概要
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【目的】リウマチ治療薬であるMethotrexate(MTX)は,重症化すると致死的な肺障害を生じる。しかし,その発症機序は不明であり,解明は重要である。これまで,我々は<I>in vivo</I> および <I>in vitro</I> においてMTX誘発肺障害モデルマウスを作成し,肺胞上皮細胞(MAEC)が肺線維芽細胞(MLF)に比べて細胞障害やアポトーシスを受けやすいことを報告している。本研究は,MTX誘発肺障害時の肺胞上皮細胞の障害過程における薬物トランスポーターの関与を明らかにするため,MAECおよびMLFに発現する各種トランスポーターの同定およびMTX輸送能について比較検討した。 【方法・結果】C57BL/6Jマウスの肺から単離した初代肺胞上皮および肺線維芽細胞を用いて,MTXの輸送を担うSlco/Oapt/Slcトランスポーター(25種)のmRNA発現量をRT-PCR法およびreal-time PCR法により測定した。また,[<SUP>3</SUP>H]MTXを用いて取り込み実験を行った。 【結果・考察】MAECは主にMrp3とOatp4c1が発現しているのに対し,MLFでは主にAbcトランスポーターが発現していた。 MAECおよびMLFを介した,[<SUP>3</SUP>H]MTX取り込み実験の結果,MLFに比べ,MAECはMTXの細胞内への取込が有意に高かった。一方,MK571 存在下において,MLFにおけるMTXの細胞内濃度はMAECと比べて有意に増加した。本研究により,MAECおよびMLFに発現するトランスポーターおよびその輸送能に明らかな差異が認められた。このことから,MAECはMTXが細胞内に蓄積することで細胞障害が生じやすいのではないかと考えられた。
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日本毒性学会 | 論文
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