胎仔におけるDiethylstilbestrolの蓄積性とエストロゲンシグナルかく乱作用
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概要
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【目的】合成エストロゲン剤のDiethylstilbestrol(DES)は,妊娠期暴露により女児で膣腺癌や不妊を誘発することから内分泌かく乱作用が疑われてきたが,その作用については未だ不明な点が多く残されている。また妊娠動物におけるDESの動態についても投与後数時間の移行性しか検討されておらず,それ以降の動態が胎生期エストロゲンシグナルのかく乱に少なからず関与する可能性も考えられる。本研究では,妊娠マウスの母体臓器と胎仔におけるDESの移行性/蓄積性を検討するとともに,DESが胎生期エストロゲンシグナルに与える影響を当研究室で開発したエストロゲン応答性ルシフェラーゼ(Luc)発現レポーターマウス(E-Repマウス)を用いて検討した。【方法】<SUP>3</SUP>H-DES(10 µg/kg)を妊娠11.5日目のマウスに単回皮下投与した。DES投与6時間後から96時間後に各臓器の放射活性を測定した。エストロゲンシグナルへの影響については,雌E-Repマウスと雄ICRマウスを交配させ,妊娠11.5日目にDES(10 µg/kg)を皮下投与し,6時間後から48時間後における母体の各臓器,胎盤,胎仔のLuc活性を指標に評価した。【結果および考察】妊娠母体の<SUP>3</SUP>H-DES放射活性は経時的に減少したが,胎仔では投与後6時間から72時間まで放射活性の増加が認められ,蓄積性を示した。またこの結果を反映して妊娠E-RepマウスにDESを投与すると母体の各組織のLuc活性は48時間以内に消失した。一方でDESの蓄積が見られた胎盤・胎仔では,DES投与6時間後のLuc活性は溶媒群に比して有意に増大したが,48時間後ではDESが蓄積しているにもかかわらず,逆に有意なLuc活性の低下が認められた。以上の結果より,DESは胎児への高い蓄積性を有すると共に,この蓄積が胎児エストロゲンシグナルをかく乱する要因となる可能性が示唆された。
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