注射薬中に存在する重合開始剤はヒト末梢血単核球のアポトーシスを誘導する
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概要
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【目的】近年,我々はプラスチック製医薬品容器に充填された注射薬から3種類の重合開始剤を検出した。そこで今回,重合開始剤による細胞毒性をMTTアッセイを用いて評価した。また,細胞死の形態はフローサイトメーターを用いて評価した。【方法】ヒト末梢血単核球は,同意取得した健常成人から末梢血を採取し分離した。細胞毒性試験は,96穴プレートを用い,細胞液(1×10<SUP>5</SUP> cells / well)に各種重合開始剤を添加し,5%CO<SUB>2</SUB>,37°Cで培養した。24時間後,MTT溶液を加え3時間培養した。その後,培養液を吸引除去しDMSOを加え,マイクロプレートリーダーを用いて吸光度を測定した。細胞死の形態観察は,6穴プレートを用い,細胞液(1×10<SUP>5</SUP> cells / cm<SUP>2</SUP>)に各種重合開始剤を添加し,5%CO<SUB>2</SUB>,37°Cで24時間培養した。遠心後,MEBCYTO<SUP>®</SUP> Apoptosis Kit (Annexin V-FITC Kit)のプロトコルに準拠し,Annexin VおよびPropidium Iodide(PI)を添加した。室温にて15分間反応させた後, FACSCalliburを用いてアポトーシス細胞数およびネクローシス細胞数を計測した。なお,本研究は岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:1026)。【結果および考察】3種類のいずれの重合開始剤もヒト末梢血単核球と24時間接触後に細胞毒性を示した。また,フローサイトメトリーの結果,生細胞数は,用量依存的に減少した。一方,後期アポトーシスは用量依存的に増加した。しかし,早期アポトーシスおよびネクローシスはコントロール群と比較して大きな差は認められなかった。以上の結果より,重合開始剤によるヒト末梢血単核球の細胞死は,アポトーシスが関与していることが示唆された。
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