薬物代謝を考慮した包括的光安全性評価法の開発
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概要
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[目的] 薬剤性光線過敏症は多くの薬剤で発現が認められる副作用であり,一部の薬剤では代謝物の関与が示唆されている.創薬初期段階において代謝物の光毒性リスクを予測することは困難であるが,最終的には代謝物も加味した包括的光安全性評価が必要であろう.そこで本研究では,代謝物による光毒性が示唆されている fenofibrate (FF) をモデル薬物とし,代謝物も含めた光安全性評価を行った. [方法] FF とその主要代謝物である fenofibric acid (FA) および reduced fenofibric acid (RFA) に対し光化学的特性評価を行った.ラットに FF (5 mg/kg) を経口投与後,経時的に採取した血漿,眼および皮膚中の薬物濃度および代謝物濃度を測定した.両者の結果からその光毒性リスクが特に高いと考えられる代謝物について,in vitro および in vivo の両面から詳細な光毒性試験を行った. [結果・考察] FF および FA は極めて高い UV 吸収特性および ROS 産生を示した.FF 経口投与後,ラット血漿中および組織中には代謝物のみが検出できた.FA は RFA と比較し,血漿中においては Cmax で約 4 倍,AUCinf で約 2.5 倍高値を示し,皮膚中においては Cmax,AUCinf ともに約 4 倍高値を示した.以上より,FA は光化学的反応性と体内動態特性の両面から RFA よりも高い光毒性リスクを示唆した.実際に 3T3 NRU phototoxicity test ならびにラット皮膚光毒性試験において FA の高い光毒性反応を認めた.本知見は FA が FF の光毒性に大きく関与している可能性を提示し,また,主要代謝物を含めた光安全性評価の必要性を示唆していると考える.
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