高病原性鳥インフルエンザと新型インフルエンザ・パンデミックへの対応
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概要
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公衆衛生の普及や優れた抗菌薬の登場などにより一見制圧できたかに見えた感染症は再び私たちの前に大きな脅威として蘇ってきた。すなわち、21世紀となった今日において多くの疾病のコントロールが可能となってきているのに対し、感染症の分野では多くの新興・再興感染症などが出現してきており、いまや世界中のすべての医療機関において感染症対策は最重要課題となっている。特に2003年以来、東南アジア地域を発端に世界的に広がりつつあるH5N1亜型ウイルスによる高病原性鳥インフルエンザの問題は鳥だけでなく、鳥からヒトへの感染伝播事例も確認されるなど深刻な影響をもたらしつつある。高病原性鳥インフルエンザウイルスの鳥への感染事例は現在、地域的には東南アジアからアジア全体、さらに中東、ヨーロッパ、アフリカへと広がりつつあり、拡大防止が困難な状況になっている。また、鳥からヒトへの感染伝播事例についてもベトナム、タイ、インドネシアなど12カ国で確認されており、2007年8月24日現在、WHOに対し公式に報告された確定感染者数は322名、死亡者数は195名にもおよんでいる。この高病原性鳥インフルエンザウイルスによる鳥の集団感染事例、さらに鳥からヒトへの感染伝播の問題はまさに新型インフルエンザの発生と密接な関連があることが危惧され、新型インフルエンザのパンデミックがいつ発生してもおかしくない状況となっている。20世紀以降、これまでに新型インフルエンザパンデミックはこれまで、1918年、1957年、1968年と3回のパンデミックが発生したことが知られており、今後、新型インフルエンザパンデミックが発生した場合の全世界における感染者数は10~20億人、死亡者数は数百万人にいたるとも推定されている。そのため、世界保健機関(WHO)は、1999年4月にインフルエンザパンデミック準備計画、さらに2005年5月にグローバルインフルエンザ事前対策計画を発表し、世界各国に対し早急にパンデミック対策の策定、危機管理の徹底をはかることを勧告し、現在、世界各国においてさまざまな分野で新型インフルエンザパンデミック対応プランが策定されつつある。このような背景のもと、本シンポジウムでは、「高病原性鳥インフルエンザと新型インフルエンザ・パンデミックへの対応」のテーマのもと、4名の専門家の方々にお話をいただくことにしている。まず、高病原性鳥インフルエンザに関して、吉田英樹先生(大阪市保健所)に「高病原性鳥インフルエンザの基礎知識」についてお話しいただき、永田紀子先生(茨城県保健福祉部)に「高病原性鳥インフルエンザと行政対応」についてお話しいただく。次に、新型インフルエンザ・パンデミックに関して、谷口清洲先生(国立感染症研究所)に「新型インフルエンザへの国内外での取り組み」についてお話しいただき、最後に加來浩器先生(東北大学感染制御・検査診断学)に「パンデミック時における医療機関の対応と問題点」についてお話しいただくこととしている。本シンポジウムにおいて、現在世界的に最も大きな話題となっている「高病原性鳥インフルエンザ」および「新型インフルエンザ」の両者を取り上げ、その問題点や課題、今後の対応などの発表・討論を通じ、会員の方々に有益な情報を提供させていただくことを大いに期待したい。
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