高解像度気候変動シナリオを用いた大都市圏の風水害脆弱性評価に基づく適応に関する研究
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概要
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本研究課題では、リスク評価や防災に重点を置き、自然/人為による気候変動・変化に対する脆弱性を評価し、その脆弱性を軽減させる適応・緩和策の評価に注目する脆弱性アプローチ(ボトムアップアプローチ)によって、現在主流のトップダウンアプローチを補完する研究を提案する。低炭素化社会と気候変動へ適応した社会の実現のために、自治体の適応戦略の策定・検討に資する科学的知見を提供することを目的として、1. 過去から現在の土地利用変化情報を用いた地域気候モデルの現在気候再現実験結果及び過去の災害データを用いて、影響モデルによる風水害、農業被害の頻度や規模などについて脆弱性評価を実施し、社会システム、資源を脅かす要因を定量的に評価する(豪雨頻度・強度、低温・高温、有効降雨、人口変化など)。2. トップダウンアプローチによる将来の土地利用変化シナリオ、地域気候シナリオを用いて、気候変動・変化が風水害の脆弱性に及ぼす相対的な影響の大きさについて分析する。3. 風水害脆弱性評価に基づき、都市経済モデルによって適応シナリオを分析し、東京都担当者との意見交換を踏まえて、気候変動に対する適応戦略の検討を行う。4. 適応策を考慮した土地利用シナリオを地域気候モデルに組み込み、土地利用としての適応策が考慮されている地域気候シナリオが作成される。5. 適応策を考慮する場合としない場合について、気候変動、社会システムの変化に対する脆弱性評価を実施し、土地利用としての適応策の効果が考慮されている地域気候シナリオによる適応戦略を検討する。6. 適応戦略の検討結果を踏まえ、都市域と周辺地域での、低炭素化(コンパクトシティー等)、食料や水資源の確保、防災、生態系保全、高齢化などの多面的かつ現実的な視点も考慮した土地利用適応シナリオの検討を実施する。 本研究課題の現状、成果及び今後の展開について述べる。
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