ユーラシアの積雪がアルベドの増加と融雪により東アジア夏季モンスーンに伴う降水に与える影響
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概要
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ユーラシアの春先における積雪の影響が夏季まで持続してアジアモンスーンに伴う降水に影響を与えるメカニズムとして,積雪によるアルベドの増加と融雪による土壌水分量の増加が提案されているが,それぞれの寄与がどの程度かは十分に理解されていない.本研究ではチベット高原における積雪アルベドの影響と融雪に伴う土壌水分量増加の影響とを領域気候モデルを用いた数値実験により比較する.本研究では現実の積雪を考慮した実験,積雪のアルベドを無視した実験,融雪水による土壌水分量増加を無視した実験を行い,その差を比較した.5月から6月の初夏ではアルベドの影響が支配的であり,長江流域では融雪水の影響の3倍程度であった.7月から8月にかけて両者の差は小さくなった.結果として春先の積雪は,主に中央から西部チベットにおいて初夏でも残っている積雪によるアルベドの増加によって,夏季東アジアモンスーンに影響を与えていると考えられる.
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