森林斜面に発生する地表面流の水質特性 -小プロット(0.5×2m)の観測結果-
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概要
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近年,一部の地域ではヒノキ人工林の管理放置によって地表面流が発生し,表土が流亡したり,渓流水質が悪化する可能性が指摘されてきている。本研究では,斜面で発生する地表面流が渓流に与える影響を定量化するための基礎情報として,降水及びプロットスケールの観測で捕捉される地表面流に含まれるトレーサ成分の時空間変動を把握し,降水が地表を流れ下る際にトレーサ成分がどのように変化するのかを検討する。三重県中部の山地斜面で小プロットを3箇所で配置し,林内雨と地表面を流下する水の水質を比較した。その結果、プロットに共通して地表面流の濃度が林内雨の濃度とほぼ同じもの(δ18O,δD,Na+,Mg2+,SO42-,Cl-)、地表面流で林内雨の濃度より概して高いもの(K+,Ca2+,Al,Si,DOC)、低いもの(H+)、全く関係を示さないもの(NO3-,Mn)に区分された。以上の結果から、林内雨が地表を流下する際に濃度変化の大きい成分があることが明らかとなった。
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