タイ北部の落葉性チーク林における着葉期間・蒸散期間の年々変動 -現地観測データとSPOT-NDVIを用いて-
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概要
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熱帯林は広域の気候システムにとって重要な潜熱源であるとともに、地球規模炭素循環においても大きな役割を果たしている。落葉性の熱帯季節林では、蒸散や光合成のさかんな着葉期とそうでない落葉期では潜熱・顕熱の配分や炭素収支が大きく異なるため、Growing seasonの年々変動が年間の熱・水収支に影響することが予想される。本研究では、地上観測データと衛星リモートセンシングによる植生指数(NDVI)データの両方を用いて、アジアモンスーン地域の落葉性チーク人工林における8年間のGrowing seasonの年々変動を、着葉期間と蒸散期間に区別して明らかにし、降雨や土壌水分変化のとの対応を調べた。着葉期間及び蒸散期間の年々変動は大きく、8年間でそれぞれ最大約60日間も変化した。蒸散は、いずれの年も展葉の進行とともに増加するが、乾期の蒸散低下は落葉よりも早く、落葉が完了する前に蒸散が停止した。降雨やそれに伴う土壌水分変化の違いが、着葉期間や蒸散期間の年々変動を引き起こす要因となっている可能性が示唆された。
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