降雨時の地表面後方散乱断面積に関する統計的考察
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概要
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世界初の衛星搭載降雨レーダTRMM/PRは、周波数13.8GHz(Ku帯)を利用している。これは、一般的な降雨レーダで使用されているC帯の周波数に比べて高く、降雨減衰の影響が無視できない。TRMM/PRの標準アルゴリズムでは、Hitschfeld-Bordan(HB)法と表面参照法を組み合わせることで、減衰補正を行っている。表面参照法では、「降雨時と無降雨時で地表面の状態は変化しない」ことを仮定している。本研究では、TRMM/PR Version6の標準プロダクトを使い、降雨時の地表面後方散乱断面積に関する統計解析を行った。その結果、降雨時には土壌水分量の増加により無降雨時よりも地表面後方散乱断面積が高くなることを強く示唆する結果が得られた。表面参照法ではこれを部分的にしか反映していないため、積算減衰量(PIA)の第一推定値は過小評価される傾向にある。最終的なPIAおよび降雨強度推定値への定量的な影響については今後の検討課題である。
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