森林火災がカラマツの水移動に及ぼす影響
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概要
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2002年の夏季,東シベリア・ヤクーツク近郊のカラマツ林において,森林火災の被害を受けたカラマツと被災しなかったカラマツの水移動特性を比較した.火災を受けたカラマツの根系域における土壌水分は被災しなかったカラマツ根系域の土壌水分より明らかに高かった.しかし,葉や樹幹の水分ポテンシャル,樹液フラックスは,常に被災した試験木の方が低かった.このことは,被災したカラマツの通水性が,被災しなかったカラマツのそれに比べて低いことを示している.土壌_-_植物系の水移動に関するオームの法則のアナロジーから,土壌_-_樹幹上端部・樹冠間の単位通水抵抗を求めた.その結果,被災したカラマツの単位通水抵抗の方が高いことがわかった.以上から,被災したカラマツは,地表火及び地中火により樹幹下部や根系の通水組織が損傷し通水性が低下したと考えられた.
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