腹腔鏡下前立腺全摘除術における部分神経温存術式の術後性機能に関する検討
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概要
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【目的】腹腔鏡下前立腺全摘術において,機能温存と癌制御の両立を目指し,神経部分温存術式を開発した.今回,本術式の神経温存を電気生理学的に評価し,完全温存術式,非温存術式と比較検討を行った.また,その術後性機能に関して検討を行った. 【対象と方法】腹腔鏡下前立腺全摘除術を施行され,術中に電気生理学的神経温存評価を行った前立腺癌患者28例(56神経血管束)を対象とした.完全温存(15症例;15神経血管束),側方切離を前立腺後外側ラインとした部分温存(8症例;9神経血管束),および側方切離を前立腺後外側から約5-10mm離れたラインで行った非温存(23症例;32神経血管束)の3群に分類し,それぞれの電気生理学的神経温存評価を行い,さらに術後勃起に関してEPICを用いたアンケートにより継時的に評価した. 【結果】術式と電気生理学的判定の一致率は68%(28例中19例)であった.神経血管束別の評価では,完全温存術式で80%(右;89%,左;67%),部分温存術式で56%(右;50%,左;60%),そして非温存術式で13%(右;13%,左;12%)が神経温存と判定された.片側部分温存術式症例の術後6ヶ月,12ヶ月,18ヶ月,24ヶ月における勃起率は,それぞれ0%,33%,33%,67%であった.片側部分神経温存術式施行症例の術後QOL評価ではSexual function scoreは低値を示すものの,Sexual bother scoreは比較的高値を維持していた. 【結語】神経部分温存術式は,完全温存術式には劣るものの,一定の確率で神経温存されることが電気生理学的に示された.また,本術式では緩徐ではあるが一定の勃起機能回復傾向も認められた.本術式は性機能温存術式に成りえる可能性が示唆された.
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