腹腔鏡下前立腺全摘術における手術成績:─QOLを中心に─
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概要
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腹腔鏡下前立腺摘除術(LRP)の拡大視野により得られる解剖知識の発展により,神経温存の新しいコンセプトとして "Intrafascial nerve-sparing" などが開発された.当初LRPは制癌効果や術後合併症に対し懐疑的な見解が多かったが,近年では開腹手術とほぼ同等とされ,その地位が確立されつつある.これまでに,術後尿失禁の早期回復を目的として多くの術式の改善が行われているが,影響を与える要因などは未だ未確定な部分も多い.こうした背景をもとにQOLを中心に慈恵医大におけるLRPの治療効果を検討した. 慈恵医大泌尿器科でIntrafascial nerve-sparingが導入された2007年1月以降にLRPを行った232例を対象に神経温存群と非温存群に分けて制癌性と術後QOLについて検討した. 切除断端陽性症例は全体で28.9%,pT2症例では15.4%であった.術後尿失禁の回復については,両群ともに術後12ヶ月で95%以上が回復していたが,術後1および3ヶ月では温存群が有意に高く,両群の患者背景は違うものの,神経温存が術後尿失禁の早期回復には有利である可能性が示唆された.性機能については,神経温存群では12ヶ月で有意に回復が認められた.これらの結果から,LRPは根治性を含めた "Trifecta" という観点からも開腹手術と遜色ないものと考えられた.
- 日本泌尿器内視鏡学会の論文
日本泌尿器内視鏡学会 | 論文
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