腹腔鏡下前立腺全摘除術の長期成績─癌制御を中心に─
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概要
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【目的】当科における腹腔鏡下前立腺全摘除術について主に癌制御を中心に検討を行った. 【対象と方法】神戸大学病院泌尿器科において2000年4月から2009年12月までに施行し,Neoadjuvant療法は施行せず術後6ヶ月以上経過観察可能であった234例を対象とした.手術は5 ports,経腹膜アプローチで施行し,手術成績,術後再発,合併症について検討した. 【結果】平均年齢は67.0歳,術前PSAの平均値は10.2,臨床病期はT1c:87例,T2a:43例,T2b:60例,T2c:33例,T3a:10例,T3b:1例であった.平均手術時間は352.3分,出血量は896.4ml(術野に流出した尿量を含む),同種血輸血を9例に施行した.外科的処置を必要とした合併症を5例に認めた(直腸膀胱瘻2例,創部ヘルニア2例,絞厄性イレウス1例).病理病期はpT0:1例,pT2a-b:35例,pT2c:137例,pT3a:43例,pT3b:18例で,Gleason Scoreは6以下/3+4/4+3/8-10がそれぞれ17/51/27/5%であった.断端陽性は84例(35.9%)で,病理病期別断端陽性率はpT2/pT3でそれぞれ27/64%であった.3年非再発率および5年非再発率はそれぞれpT2/pT3a/pT3bで92/69/42%および86/65/42%であった. 【結語】諸家の報告および他の術式と比較し,経腹膜アプローチ腹腔鏡下前立腺全摘除術の制癌性はおおむね良好であった.しかし切除断端陽性例がやや多い傾向にあり,術中細心の注意を払う必要があると思われた.
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