親子関係の心理学的研究 (第8報告):子供に対する親の態度の因子分析的研究
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概要
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1)親子関係の研究に当たつては, 親の態度に関する有勘かっ操作的に定義された質問または観察項目ならびに範疇を決定することが重要である。この目的のために80名の母親に対する態度〔Radke(1936)にならう〕57項目に関する面接質問より得た結果に因子分析を行なつた。<BR>2)結果(i)第1, 権威的取扱い; 第2, 同胞不調和; 第3, 許容性; 第4, 子供らしさの奨励; の4因子が見出された。<BR>(ii)各因子間の相関係数(r)は第1と第3因子(-. 397), 第1と第4因子(-. 372), 第2と第4因子(-. 346)のみがそれぞれ有意な逆相関を示した。したがつていずれかひとっの因子から他のすべての因子の状況を推定することは不可能であり, また子供に対する親の一般的態度というものをいうことも困難である。<BR>(iii)上の各因子はFPBSによる資料に対して因子分析を行なったRoffの結果と似ているところが多い。これは本研究の妥当性を示すものといえよう。<BR>3)子供の行動特性に影響する要因としては単に子供に対する親の直接的態度のみならずその他の要因, たとえば親の人格特性, 知的水準, 社会経済階層なども考慮する必要があるように思われる。<BR>附記本研究に当たつて浅田ミツ君をはじめ教室員諸君の多大の助力を得たことを感謝する。
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The Japanese Association of Educational Psychology | 論文
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