「空書」行動の出現と機能:表象の運動感覚的な成分について
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概要
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本研究は, 日本人の行動として広く観察される, 単語等の想起時における書字行動 (「空書」と記す) の同定と, その機能の実験的解析を目的として行われた。女子短大生を被験者とし, 漢字字形素統合課題を用いた2つの実験から, 以下の知見が得られた。<BR>I. 空書行動の出現とその形態<BR>1. 漢字字形素統合課題の解決中に105名の被験者のほぼ全ての者に空書が出現した。<BR>2. 空書には2つの行動形態が存在する。第1は, 何らかの書字面をもち, その書字過程が凝視されるタイプで, 第2は, 書字面をもたない, 身体前面の空間への書字というタイプであった。<BR>II. 空書行動の機能字形素を異なるモダリティーで (視覚的, 聴覚的) 提示する事態で2つの空書許可条件及び空書禁止条件のパフォーマンスが比較され, 以下の結果を得た。<BR>1. 書字面のあるタイプの空書には, 両提示条件で, 高い正答を導く効果があった。<BR>2. 書字面をもたないタイプの空書は, 字形素が視覚的に提示される事態でのみその効果があらわれた。<BR>以上の結果が, 表象の運動感覚的な成分が空書を導くとする仮説及び, 外顕的行動による意識過程の統制という2つの観点から論議された。
- The Japanese Association of Educational Psychologyの論文
The Japanese Association of Educational Psychology | 論文
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