点源放出の1次元移流拡散方程式の逆問題

概要

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大気や海洋中に危険・有害物質が拡散した場合、その拡散源を迅速に特定する必要がある。最近、安部らは拡散源の特定のため乱流拡散現象まで考慮した逆解析の数値計算法の確立をめざし、乱流モデルを用いて乱流境界層中の点源からの拡散を逆解析した。逆解析の数値不安定性に対してはフィルタリングを使って安定性を確保した。本研究では、安部らの研究結果の物理的理解を深めるため移流拡散方程式の逆問題の解析を行った。理想化して点源から放出される物質の1次元移流拡散方程式の逆問題を考え、不安定性の原因とそれを抑えるフィルタリングについて考察した。逆方向に計算すると濃度分布に空間振動が生じるのは数値誤差による高波数成分が増大して物理的な低波数成分と同程度になったからであること、より高階の微分のフィルターを用いると濃度のピーク値が増えて結果が改善すること、フィルター幅の最適値は逆方向計算の初期値の濃度分布の幅から求められることがわかった。
日本学術会議「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」の論文