強風下の海面粗度変化が熱帯低気圧の強度・構造に与える影響
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概要
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近年得られた観測結果を基に感度実験を行い、強風時における海面交換係数の変化が熱帯低気圧に与える影響を調べた。感度実験の結果から、風速30ms<SUP>-1</SUP>以上で交換係数が減少傾向となる分布(Makin, 2005)を採用すると、各フラックスは減少し、熱帯低気圧の最大風速は増加する一方、中心気圧に変化は無いという結果が得られた。この結果は、 Emanuel (1986)の定常状態における熱帯低気圧の強度に関する理論を用いて解釈することができる。また、最大風速半径は増加、眼の壁雲での対流活動は減衰し、その位置が外側に傾く傾向にあった。その一方で、抵抗係数が変化したのにも関わらず、熱帯低気圧の活動を決める海面水平収束に顕著な違いが見られなかった。これらの結果は、海面摩擦の減少による吹き込み角度の減少する点と、渦全域で風速が増加する点を踏まえて解釈される。結果、今後数値予報モデルで採用されるであろう新しい交換係数の分布は、台風の強度に関して強い影響を与えることが示唆された。
- 日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」の論文
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」 | 論文
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