電場下での高分子電解質ゲルの変形と緩和のダイナミクス
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概要
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電場下での高分子電解質ゲルのダイナミクスを溶媒、高分子鎖、イオンの3流体の相対運動を考慮したElectro Stress Diffusion Couplingモデルにより構築した。本理論は電場と圧力勾配に誘起される電流と溶媒流について浸透係数をミクロなパラメータで記述する。また、電気浸透の結合定数について、従来、電気化学の分野で言われて来たイオンへの水和による溶媒の浸透だけではなく、荷電高分子鎖が電場から受ける電気的な応力により誘起される溶媒の流動を表現することが出来る。ここでは、イオンと溶媒および高分子と溶媒の摩擦係数をゲルの細穴サイズとカウンターイオンのサイズで記述し、Nafion117薄膜の各種カウンターイオンについての流動電位について、高分子鎖の電場応力が誘起する流れを考慮することで、実験結果と従来の水和理論のギャップがうまく説明づけられることを示した。また、電圧印加に伴う初期の変形後の緩和のダイナミクスを構築し、各種カウンターイオンのStokes半径とゲルの細穴サイズの比と緩和時間の関係を調べた。イオン半径が大きくなると緩和時間が増大し、Nafion117では比が0.3程度になると緩和時間が無限大に発散し緩和が起こらなくなることを示した。これは、変形に伴う圧力勾配で溶媒浸透が起こると流動電位が生じ、流動電位に起因する逆向きの電気浸透流がゲル中に発生するためである。本緩和の理論は、Nafion117で巨大鎖体イオン(TEA+)をカウンターイオンとした場合の変形挙動を定性的に説明する。
- 日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」の論文
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」 | 論文
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