患者の受診行動と保険者に対する規制
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概要
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本論文は日本の公的医療保険制度の医療保険者に対する規制について検討する。健康保険法では医療保険加入者は自由選択によって医療機関や医師を自由に選択できる。しかし医療保険者の側に立てばこれは自己の加入者が利用するべき医療機関・医師を自由に選択できないという状況にあることを意味する。これは医療保険者に対するひとつの規制であるといえよう。この規制は患者のフリーアクセスを最大限に尊重するものであるが,患者が医療機関・医師の情報を充分に保有していない場合にはかえって社会厚生を損なう可能性がある。<BR>本稿では医療保険者が医療提供者のパフォーマンスを観察し,その結果に基づいて加入者の受診できる医療提供者を制限することが社会厚生を改善し得る可能性を示した。方法としては,医療保険者が自己の要求する水準に満たない技術しか持たない医療提供者については保険償還を拒否することがあげられる。この場合に社会的厚生は患者のフリーアクセスを保証する場合よりも改善されることが示された。しかし,加入者が医療提供者を変更する費用がかかる場合には,加入者による医療提供者の選択の自由を制限することが必ずしも社会的厚生を高めないことも示された。
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