異なる健康状態測定法による評価値の関連
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概要
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QALY(Quality Adjusted Life Years)算出のための様々な健康状態評価方法のうち,理論的に望ましいとされるSG(Standard Gamble)やTTO(Time Trade-Off)には測定が容易でないという問題があり, 一方, 測定が比較的容易なVAS(Visual Analogue Scale)には理論的な問題があるとされる。そこで本研究は, 訪問面接調査により, 40~59歳の女性82名に対して,同じ仮想的健康状態についてV A S とS G , T T O により同時に測定し, その関連を明らかにし, V A SからS G , T T O への変換式を作成する試みを行った。測定された評価値はばらつきが大きく, マイナスの値,つまり死より低い値も特にSGとTTOにおいて多く見られた。健康状態ごとに平均するとSGとTTOは同様の値を示すものの,VASの値は一貫して高い値となった。また,VASとSG, VASとTTOの値の間にはある程度の関連が見られ, 従属変数をSG・TTO値, 独立変数をVAS値とその他の要因として回帰分析を行った結果, SG, TTOとも約50%前後と比較的高い説明力を持つ回帰式が得られた。英国における先行データとの比較では, 平均評価値の傾向に若干の違いが見られたが, その理由として日英間の選好の違い, 翻訳による測定ツールの語感のずれ, 年齢, 性別の絞り込みによる影響などが可能性として考えられた。
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The Health Care Science Institute | 論文
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