化学種解析及び同位体比測定に基づく室内塵と保育園土壌に含まれる重金属元素の起源解明
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概要
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近年、室内塵及び保育園土壌は小児の化学物質の曝露源として懸念されているが、日本及び中国の室内塵に含まれる重金属元素に関する系統的な研究はほぼ行われていない。そこで本研究では、化学種を敏感に反映するX線吸収微細構造(XAFS)法及びNanoSIMSを用いて、室内塵及び保育園土壌中の重金属元素の化学形態及び同位体比から起源の解明を目的とした。保育園の土壌のXAFS解析の結果、遊具の塗料片が保育園の土壌中Pbの最も大きな汚染源の一つであることが示唆された。一方、土壌中に存在した塗料片の同位体比マップ測定の結果、塗料片によって同位体比は異なり、さらに一つの塗料片の中でもPb同位体比は大きくばらつくことが明らかになった。このことは、同じ起源(用途)の鉛でも同位体比が異なる可能性があることを意味し、保育園土壌中の鉛の起源をPb同位体で知ることは困難であることを示唆し、Pbの起源解明においてXAFS法は比較的有効な手法であることを示している。
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