南米パタゴニア溶岩台地のアルカリ玄武岩とマントル捕獲岩の希ガス同位体比
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概要
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南米大陸の南部アンデス弧の背弧域にあたるパタゴニア南部で、鮮新世から第四紀にかけてアルカリ玄武岩の溶岩台地を形成した火成活動の起源を明らかにするため、南部パタゴニア溶岩台地で採取したアルカリ玄武岩から鉱物分離したカンラン石斑晶とマントル捕獲岩について、破砕法によるガス抽出を用いた希ガス全元素の同位体分析を行った。アルカリ玄武岩マグマの3He/4He比は6~7RA程度で、MORB(8±1 RA)よりも高い3He/4He比で特徴づけられるマントルプルームは関与していないことが明らかになった。このことは、パタゴニア南部のアルカリ玄武岩が持つOIB 的な特徴の起源が、スラブウィンドウを通過してきたマントルプルームである可能性は低いことを示している。一方マントル捕獲岩の希ガス同位体比からは、この地域の大陸下リソスフェアが、交代作用に伴いHeがマグマに選択的に持ち去られた結果として、MORBより低い3He/4He比と4He/40Ar*比をもっていることが分かった。また40Ar/36Ar比の最高値はアルカリ玄武岩で6000、マントル捕獲岩で3000程度と、マントルの値(~40000)より低く、沈み込みによってもたらされた大気起源Ar(40Ar/36Ar比 = 296)の寄与を示唆している。
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