東京都足立区本木地区から採取した沖積層ボーリングコア堆積物 (GS-AMG-1)の堆積相,放射性炭素年代と物性
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概要
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荒川流系の末端の東京都足立区本木地区には,最終氷期最盛期までに形成された開析谷を充填する河成から海成の沖積層が分布している.そして,この地域の沖積層は中川や古東京川流域のものと比べ,厚層な河成の砂質堆積物から構成されることを特徴とする.荒川の開析谷軸部において掘削した GS-AMG-1 ボーリングコア堆積物の堆積相解析,放射性炭素年代と物性の測定の結果,T.P.-55.7 m 以浅に分布する沖積層は,下位より,(1) 礫層(網状河川チャネル堆積物),(2) 砂層と泥炭質なシルト層(蛇行河川氾濫原堆積物),(3) 砂層(潮流の影響した河川チャネル堆積物),(4) 貝化石を含む砂泥互層(潮汐の影響した上方深海化する浅海性堆積物),(5) 貝化石を含むシルト‐砂質シルト層(プロデルタ‐デルタフロント堆積物),(6) 生痕化石のみられる砂泥互層(干潟堆積物),(7) 泥炭質なシルト層(現世の 蛇行河川氾濫原堆積物),埋土から構成されることが明らかになった.(2)~(4) の上方深海化サクセション(12,940 ± 100 ~ 8,030 ± 110 cal BP) と (5)~(7)の上方浅海化サクセション (6,660 ± 180 ~ 2,245 ± 95 cal BP) は,それぞれ最終氷期最盛期以降の海水準上昇と完新世中期以降の海水準の安定もしくは緩やかな下降に伴ってコアサイトに堆積したと考えられる.既報の厚層な河成砂質堆積物は (3)と対比される.GS-AMG-1 の沖積層の密度と含水率,N 値は,砂泥含有率と相関する.
- National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Geological Survey of Japanの論文
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Geological Survey of Japan | 論文
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