和歌山県沿岸に生育するカジメ・クロメ配偶体の生長と成熟および胞子体の初期生長に及ぼす水温の影響
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概要
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和歌山県沿岸6箇所に生育するカジメとクロメについて,配偶体の生長や成熟および胞子体の初期生長に及ぼす温度の影響を調べた。その結果,両種の配偶体の生長は種間や産地に関係なく,最適温度22~25℃までは高水温ほど早く生長し,28℃では異常形態を示すものが多く観察された。配偶体の成熟は産地によって温度特性が大きく異なり,20℃以下で芽胞体形成率の高い地域と20~22℃で形成率の高い地域,および14~25℃の広い範囲で形成率の高い地域の3つに分かれた。また,胞子体の生長適温も産地によって異なり,いずれの産地とも14℃下では葉長に比べ葉幅が発達した丸形を呈すのに対し,18℃以上では葉幅の狭い細長形となった。これらのことから,和歌山県沿岸に生育するカジメやクロメの配偶体の成熟適温や胞子体の生長適温は単一種内であっても地域間で大きく異なり,胞子体発芽時の温度は葉状部の形態にも影響を及ぼすものと推測される。
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