水環境中におけるトリフェニルボラン化合物の挙動に及ぼす光の影響
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概要
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防汚剤は船底や漁網へのフジツボ,二枚貝,藻類等の水生生物の付着を防ぐために塗料に混合されている.トリフェニルボラン化合物(TPBP,TPBOA,OPA)は日本で使われている防汚剤であるが水環境中における挙動や毒性の情報が少ない.この研究の目的は,水環境中における3種のトリフェニルボラン化合物の挙動に及ぼす光の影響を明らかにすることである.海水中に溶解したトリフェニルボラン化合物を親化合物及び分解生成物の濃度を測定すると共に,白色蛍光燈で光照射処理を行い,海産発光細菌及び塩水性甲殻類を用いて生態毒性を評価した.TPBOA及びOPAにピリジンを加えてTPBPに変換することにより,HPLCにより定量できた.2%塩化ナトリウム及び人工海水中のトリフェニルボラン化合物の23 ~ 80%が,蛍光燈照射により光分解した.トリフェニルボラン化合物の海産発光細菌に対する30-min EC50は0.27 ~ 1.0 μM,塩水性甲殻類に対する48-hour LC50 は0.079 ~0.26 μM であることから,海産発光細菌より塩水性甲殻類の方がトリフェニルボラン化合物の影響を受けやすかった.蛍光燈照射することで海産発光細菌及び塩水性甲殻類に対する毒性は弱くなった.よって,未知の分解生成物が生成したとしても,その毒性は低いと考えられた.
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