振り返りを伴った早期医療体験実習の教育効果について―1年を通じたプロフェッショナリズム育成の場としてのearly exposure―:―1年を通じたプロフェッショナリズム育成の場としてのearly exposure―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
早期医療体験実習は欧米を中心に他の国々でも広く行われており,中には年間を通して実施している大学もある.しかし,わが国においてはその多くが保健福祉現場での実習であり,かつ,ある一定の期間集中的に行うもので期間も様々だ.三重大学では学生の医学学習への意欲を高めるためのみならず,プロフェッショナリズム教育として,振り返りを伴った早期医療体験実習を1年を通して行っており,その授業を評価した.1) アンケートの結果,学生はコミュニケーション能力の重要性,医療と社会の関わり,患者と家族の関わり,医師としてあるべき姿について深く考え,授業を意義あるものと捉え高く評価していた.2) デイリーログの省察項目を分析したところ,学生は最初,衝撃を受け現場活動への参加を躊躇したが,1年の間に積極的に参加し,学習にも前向きになっていくと同時に慣れを生じるという経時的変化を起こすことが分かった.3) 「実習を通して何に気付いたか」についてポートフォリオの感想を質的に分析したところ,コミュニケーションの重要性,医師の責任・やりがい,医師・医療のあり方,学習意欲等10カテゴリーに纏められた.4) 最終回のリポートには,実習体験を踏まえ多くの成書を読んで,自分が将来あるべき医師の姿を描くことが出来ていた.5) 結論として,1年間を通して行った本実習は,短期間あるいは一過性の実習では得られない学生の医学学習や動機付けの維持に効果があることが明らかになった.
- 日本医学教育学会の論文
日本医学教育学会 | 論文
- 従来型カリキュラムへのPBLテュートリアル導入が臨床実習にもたらした効果
- 医学部学生に対する二次救命処置教育 : シミュレーション訓練を取り入れた二次救命処置教育プログラムの作成
- 学生による臨床実習指導医評価法の検討
- 診療参加型臨床実習医学生における生命倫理についての意識調査
- 米国における医療(患者)安全教育の現状